燃調(酸素濃度)の温度・湿度・気圧による影響計算

投稿者: | 2010年5月19日

キャブセッティングは、外気の酸素濃度に合わせる必要があって
なかなか奥が深いものです。気候条件などでだいぶ変わってきます。
冬になれば濃くしなければならないとか、よく知られていますよね。
で、以下が、酸素濃度が高くなる要因と言われています。
酸素濃度が高くなる要因
・気温が下がる
・湿度が下がる
・気圧が上がる
・標高が下がる

このような要因により酸素濃度が高くなれば、
これに合わせてガソリンを濃くしなければいけないというわけです。
(ノーマルはよく考えて作られてるので別に気にしなくていいんでしょうけど、
 自分は改造(ボアアップ)したのでキャブセッティングせざるを得ない状況…。)
で、これらの気温・湿度・気圧・標高の要因が組み合わさった時に
どちらがどれくらい効いてくるのか気になって、計算してみてしまいました。
酸素濃度がどの要因により何%プラスまたはマイナスになるかを計算してあります。
ちなみに、この計算結果を参考にしていただくのは一向にかまいませんが、
何分素人ですゆえ、内容には責任を持てません。
間違い等発見されましたら、コメントを頂けると大変うれしいです。
※計算簡略化のため、湿度0%の空気の組成は酸素20%・窒素80%として計算します。

計算とかはどうでもよいという方はまとめ

■湿度

0℃、1気圧、1m^3中
 湿度0%時  酸素286g※1 窒素1000g 水蒸気0g
 湿度100%時 酸素284g※2 窒素 988g 水蒸気5g
       湿度0→100%で 酸素濃度変化 -0.7%
30℃、1気圧、1m^3中
 湿度0%時  酸素258g※3 窒素 901g 水蒸気0g
 湿度100%時 酸素247g※2 窒素 864g 水蒸気30g
       湿度0→100%で 酸素濃度変化 -4.3%
湿度と温度は互いに影響し合っていて、
特に夏場などは湿度の酸素濃度への影響がやや大きくなってくるようです。
夏場、例えば、湿度40%→90%になれば、酸素濃度は約-2%の変化という計算です。
—計算式—
酸素と窒素と水蒸気の体積が合わせて1m^3になるように計算しました。
※1
湿度0%、0℃、1気圧における1m^3中の酸素の質量
=酸素の体積(m^3)/1molの体積(m^3)*酸素の分子量(g)
=1*0.2/0.0224*16*2
=286
※2
湿度100%、0℃、1気圧における1m^3中の酸素の質量
水蒸気は水の何倍ぐらいの体積になりますか
より、1m^3ごとの水蒸気の体積は
1700-{(1700/373)*100}*5(g)*10^-6(m^3/g)
=6.22*10^-3
湿度0%の空気1m^3からこの水蒸気の分の体積を引くと、1m^3中の酸素の質量は、
=286*(1-6.22*10^-3)/1
=284
※3
30℃になった時の酸素の質量は、
P=(一定)ならV=V0*T/273を参考に(V0は0℃の時の体積)すると、
0℃の時の質量(g)*273(K)/変化後の絶対温度(K)
=286*273/303
=258
————-

■気温

上記「■湿度」からデータを流用、一部追加計算すると、
1気圧、1m^2中の酸素質量は、
湿度0%なら、
0℃ 286g ↓-3.5%
10℃ 276g ↓-3.6%
20℃ 266g ↓-3.0%
30℃ 258g
気温0→30℃で-9.8%
湿度100%なら、
0℃ 284g
30℃ 247g
気温0→30℃で-13.0%
ということで、夏冬を比べれば10%以上も酸素濃度が違うようです。
これが冬場にチョークをかける(or かけていた)理由なわけですね。
気温が10℃上がるごとに約-3~-4%の変化となっています。

■気圧と標高

表は一部安全登山のページより引用させていただきます。

高度差(m) 気温(℃) 気圧(hPa) 酸素濃度変化(%)
(1気圧=1013hPa比)
0 15.0 1013 0
500 11.7 956 -6
1000 8.5 899 -12
1500 5.2 847 -17

●気圧変化(標高)による酸素濃度の変化
標高による気圧変化と気温変化ではどちらの影響が強いかと考えると、
1500m登った場合、気圧変化による影響は-17%、
気温変化による影響は(先ほど見たように約10℃下がると)+3~4%なので、
標高による温度変化よりも気圧変化のほうが酸素濃度に影響があるようです。
(ん? もしやこの表の酸素濃度は気温も加味されてる? 
 いいか、標高が上がるほど結果は大して変わらなくなるので…。)
●気圧変化(気象)による酸素濃度の変化
ついでに、標高が同じでも気象変化によって気圧が変わる場合ですが、
上の表を見ると、10hPa下がるごとに、酸素濃度は約-1%の変化になるようです。
普通なら、台風の中心でも来ない限り最大でも5~60hPaくらいしか変化しないので、
多く見積もって-5%位の変化ということになります。
(よくある例としては晴れ→雨で1020hPa→1000hPaになったりするので、-2%くらい。)

■まとめ

上記のことを大雑把にまとめると(誤差あると思います)、酸素濃度は、
湿度:夏場は湿度50ポイント上昇につき約-2%。
   冬場はほぼ影響なし。
気温:10℃上昇につき約-3~-4%。
標高:0m→1000mで約-10%。
気圧:1気圧(1013hPa)から10hPa低下につき約-1%。

ってとこでしょうか。ほんとに、だいたいの目安程度ですけどね。
以上、素人が高校化学&物理を駆使して計算するとこうなりました。
間違いなどありましたら是非是非ご遠慮なくコメントいただければ嬉しいです。


■この計算をするに至った背景

ネット上で燃調(キャブセッティング)について見ていると、
標高の高い場所の気圧変化と温度変化では気圧変化のほうが影響がある
キャブレター燃調に関する質問です)とか、
湿度が一番影響がある(NSR50/miniデーターページ)といった意見を目にしました。
某巨大掲示板でも、意見が分かれてたり。
それなら、理論上どうなのか計算してみよう!
ということで計算してみたわけです。
結果、湿度が大きく影響してくるのは比較的温度の高い時(夏場)だということ、
標高による気圧変化の影響がかなり大きいことなどが分かりました。
どちらも理論値ではありますが、ネット上で見た情報とつじつまがあってます。
ということで、今後はこの計算値なども参考にしながら
キャブの様子を見ていきたいと思っています。

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燃調(酸素濃度)の温度・湿度・気圧による影響計算」への2件のフィードバック

  1. スポーツスター

    助かりました。ありがとうございました。

  2. やまだ

    お役に立てたようでうれしいです。
    湿度については飽和蒸気圧がどうのという話もあるみたいですので、
    興味があればお調べいただければと思います。

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